どうせなら、最後は君に殺されたい




普通は殴られて慣れるなんてことないよね?というか、痛くなくなるものなの?


……でも、そうか。


私の知らない7年間。私の知らない場所。

私の知らない人たち。その中で静は生きてきた。

笑って話しているけれど、きっと簡単な日々じゃなかったはずだ。


私とは違う、静は遠い異国の地で違う世界を見ていた。

違う空気を吸って、違う人たちに囲まれて成長していた。

その時間を私は知らない。共有できない。



そう思った瞬間、胸の奥に小さな寂しさが広がった。


私の記憶の中の静は、もうどこにもいないのかもしれない。あの頃の静は無愛想で、ぶっきらぼうで、愛想笑いすら苦手だった。


私が話しかけても「別に」とか「そうですか」ばかりで、感情を表に出すことなんてほとんどなかった。


それなのに今の静は違う。



「……昔はもっと無愛想で、笑った顔も数えるくらいしか見せなかったのに」



思わず零れた言葉に、静は少しだけ笑った。



「海外行ったら慣れるもんですね。コミュニケーション」

「……ふーん」



私は曖昧に返事をする。


なんだろう。この感情。