「……大変じゃなかったの?」
「何がです?」
「海外生活とか……学校とか……」
言いながら自分でも何を聞きたいのか分からなくなる。
本当はもっと違うことを聞きたいのかもしれない。
寂しくなかったのかとか。私のことを思い出したことはあったのかとか。会いたいと思ったことはあったのかとか。
でもそんなこと聞けるはずもない。
「まあ、それなりに」
静は少し考えるように視線を落とした。
「不自由はしてません」
簡単な返事だった。でもその短い言葉の裏に、きっと私の知らない7年分が詰まっている。
私はそれを想像することしかできない。
大きな怪我はしなかったのだろうか。病気にはならなかったのだろうか。
ちゃんとご飯は食べていたのだろうか。学校では友達がいたのだろうか。
寂しい思いはしなかったのだろうか。
そんなことばかり気になる自分に苦笑したくなる。まるで子離れできない親みたいだ。
でも仕方ない。私の中で静はずっと7年前のままだったのだから。
急に目の前へ現れて、「実は海外にいました」と言われても簡単に納得なんてできない。



