一瞬理解が追いつかなかった。
お父さんのところ?
私のお父さんは鳳条組の若頭で、私が小さい頃からほとんど海外にいた。
年に数回帰って来られればいい方で、一緒に過ごした記憶だって多くない。
そんなお父さんのところに静がいた?7年間も?
「働いてたって……なんでわざわざ海外……?うちにいればよかったのに」
思わず口をついて出る。
本当にそう思った。だってあの頃の静はまだ小学生だった。
大人じゃない。子どもだった。そんな子どもが突然海外へ行くなんて普通じゃない。まして働くなんて。
「体鍛えるには、日本よりあっちにいた方が手っ取り早かったんで」
「……。」
そう言われると、何も言えない。
だって私、静のことなんでも知ってるわけじゃない。
私が知っているのはほんの一部だけだった。
優一郎さんの養子としてうちに来たこと。
私より2歳年上なこと。誕生日が6月7日なこと。
血液型がAB型なこと。好き嫌いが少なくて、いつも無表情だったこと。
それくらいだ。本当にそれくらいしか知らない。



