ふつつかものですが、どうぞよろしく




歩くたびにシャツの袖をまくった腕が目に入って、その浮き出た血管までかっこよく見えてしまう。


そんな自分に少しだけ照れながらも、やっぱり目で追ってしまう。



先輩は「うーん」と小さく唸って眉間に皺を寄せ、一生懸命考えている。


その表情がなんだか可愛くて、思わずふふっと笑ってしまった。



覚えていてくれたら嬉しいなって思ってた。


でも、忘れていたとしても、それで嫌いになるわけじゃない。



「答え、言ってもいいですか?」


「うん」


「今日で、付き合って1か月です」



そう言ってにこっと笑うと、先輩はしまった、というように少し気まずそうな顔をした。



……もう、その顔しないでください。


ごめん、なんて言葉は聞きたくないし、そんなふうに申し訳なさそうにしないでほしい。



「別になにかしたいわけでもないし、されたいわけでもないですからね、私は」


「……あー、うん」



先輩はやっちまった、みたいな顔で頭をかく。


もちろん、覚えていてくれたらすごく嬉しかった。

でも、それだけ。