ちぃちゃんの絆創膏

 ちぃちゃんが、甲状腺機能低下症になってから、初めて倒れたのは、マスターのとこだった。
 この頃は、まだ、コロナが流行る前で、カウンター席じゃなく、テーブル席のソファーに寝かせられていた。
 あたしは、初めて、ちぃちゃんが倒れたので、驚いて、マスターを呼んだ。
 ちぃちゃんは、マスターに支えられながら、ソファーに倒れ込んだ。
 「救急車を呼んだほうがいいんじゃない?」
 と不安なあたしに、マスターは言った。
 「大丈夫。
少し休めば、良くなると思うから。
どうしてもダメだったら、救急車呼ぶわ。」
 と返ってきた。
 マスターの言うとおり、少しして、ちぃちゃんは目を覚ました。
 でも、すぐには動けず、ソファーでゆっくりしていた。
 あたしは、目が覚めたのを知って、駆け寄りたかったけど、従業員が居たので行けなかった。
 次に倒れたのは、ご飯を食べに出て、ご飯を食べた後、車に乗ろうとした時だった。
 ちぃちゃんは、車の鍵を開けることなく、倒れていた。
 救急車を呼ぼうとしたら、ちぃちゃんが譫言のように、救急車は呼ばないで。と言った。
 でも、呼ばないわけにいかず、救急車を呼んだ。
 救急車に乗った頃には、ちぃちゃんの意識は完全になかった。
 ちぃちゃんの意識が戻るまで、あたしは、待ち合いで待機していた。
 待機している時、看護師さんや、先生や、会計さんが来て、色々聞かれた。
 その質問に全て答えると、ちぃちゃんの意識が戻ったと教えてもらった。
 あたしは、ちぃちゃんのとこに行き、大丈夫なのか確認した。
 点滴が付けられているだけで、意識ははっきりとしていた。
 「点滴が終わったら、帰っていいよ。って言われた。」
「じゃあ、もうすぐで帰れるね。
意識もはっきりしてるし、良かった。」
「ごめんね。
迷惑かけて…。」
「迷惑って思ってないから大丈夫だよ。」
「ありがとう。」
「帰ったら、食べたいものとかある?」
「うーん…。
甘いもの…。」
「じゃあ、帰りにコンビニに寄ろう。」
「うん。」
「点滴が終わるまで暇だね。」
「そうだね。」
 点滴が終わり、点滴を外された。
 あたしは、先生に聞いてみた。
 「倒れた原因は何ですか?」
「原因は分かりません…。
検査はしたんですけど…。
すいません…。
また、倒れると思います。
その時は、気を付けて。」
「分かりました。」
「じゃあ、帰っていいですよ。」
「はい。
ありがとうございました。
(原因不明ってなに?)
(検査したんだよね?)
(検査結果も教えてくれないし。)
(何なの?)」
 と思った。
 帰りに、ちぃちゃんが食べたいと言った、デザートを買いに、コンビニに寄った。
 次に倒れたのは、DAISOだった。
 2回建てのDAISOで、あたしは1階で買い物をしてて、ちぃちゃんは2階で買い物していた。
 1階での買い物が終わり、2階に行こうとした時、車椅子が2階に運ばれていった。
 まさか!と思ったのが正解で、ちぃちゃんが2階で倒れて、あたしを呼んでいたらしい。
 あたしは慌てて、2階に上がり、ちぃちゃんの元へと走った。
 買い物そっちのけで、救急車に乗り、病院へ行った。
 ちぃちゃんの意識が戻るまで、また、待合で待機。
 待機していると、この間みたいに、看護師さん、先生、会計の人が来て、質問責めにあった。
 聞かれたことは、前回とほぼ変わらずで、持病のこととかを聞かれた。
 この時のちぃちゃんは、甲状腺機能低下症、高血圧、心筋症、躁鬱、パニック障害、適応障害だった。
 ちぃちゃんの家族よりも、詳しくなって、ペラペラ持病のことが話せた。
 ちぃちゃんは、点滴をしてもらって、意識が戻ったので、あたしは、ちぃちゃんに会いに行った。
 「気分はどう?」
「何とか…。」
「落ち着いた?」
「うん…。」
「良かった。」
「ありがとう。」
「DAISO行かんとな。」
「そうだね。
迷惑かけちゃったし…。」
「迷惑って思ってないよ。
店員さんも。
買い物して帰ろう。」
「うん。」
「今日、何が食べたい?」
「お寿司かな…。」
「じゃあ、お寿司に行こうか。」
「うん。」
 点滴が終わり、病院から帰る途中、DAISOで買い物して、お寿司を食べて帰った。
 次に倒れたのは、ホストクラブ。
 終わりの時間が近づいてきた時、ちぃちゃんは、フーッとソファーに倒れた。
 でも、寝ているようにも見え、少ししたら起こそうと思っていた。
 会計が回る時に、ちぃちゃんを起こそうとしたら、起きなくて、お店に迷惑かかると思ったけど、救急車を呼んでもらった。
 ホストクラブの会計は、悪いとは思ったけど、ちぃちゃん分はカバンからお金を出して払った。
 救急隊の人が来て、持病のことを聞かれた。
 あたしは、スラスラ答えた。
 「あなたも一緒に来てください。」
 と言われたので、救急車に乗った。
 病院に受け入れの電話した時、救急隊の人があたしのことを病院に伝えた。
 「かなり、状態に詳しい方が同乗しているので、受け入れをお願いします。」
 と言われた。
 病院に着くと、ちぃちゃんと離され、待合で待っていた。
 でも、眠くて…いつの間にか寝てしまった。
 優しく、名前を呼ばれ、起きた。
 ちぃちゃんが、目を覚ましたとのこと。
 あたしは、ちぃちゃんに会いに行った。
 他愛のない話しをしていたら、先生が来た。
 「点滴は、スポーツドリンクと同じなので、スポーツドリンク飲むなら、点滴外しましょうか?」
「先生…。
ちぃちゃん、スポドリ飲めません。」
「じゃあ、点滴が終わるまで待っててください。」
「はい。」
 ちぃちゃんと2人返事をした。
 点滴が終わる頃、何が食べたいか聞いた。
 ちぃちゃんは、また、お寿司と答えた。
 寿司好きなのか?
 「じゃあ、お寿司食べに行こうか。」
「うん。」
 病院の帰りに、お寿司を食べて帰った。
 次に倒れたのは、ホストクラブのある、ビルの階段だった。
 奇跡的に、階段から転げ落ちるんじゃなく、1番下の階で倒れていた。
 あたしは、階段のとこで、ちぃちゃんを見つけ、初めは、階段から転げ落ちたのかと思った。
 でも、それらしい痕がなく、安心した。
 救急車を呼んだら、担当のホストが、上司に言われて、降りてきた。
 「俺も一緒に行く。
上司がそうしろって。」
「分かった。
でも、かなり時間かかるよ?」
「大丈夫。総体扱いしてもらったから。」
「分かった。
じゃあ、一緒に行こう。」
 2人で救急車に乗った。
 病院についてから、持病のことを話した。
 担当ホストは、持病の多さに驚いていた。
 それから、意識が戻るまで、いつものように、待合で待たされた。
 今回は、中々目覚めなくて、ずっと待っていた。
 先生が来て、いつもと違うとこを聞かれた。
 「いつもより、目覚めるのに時間がかかりすぎてます。
もしかしたら、ODしたのかもしれません。」
「OD癖あるんですか?」
「はい。
あります。」
「では、点滴の量を増やして、様子を見ましょう。」
「はい。」
 案の定、ちぃちゃんは、ODしていた。
 やっとのことで、目が覚めたちぃちゃん。
 でも、まだ、言いたいことが言えない状態だった。
 「ちぃちゃん、ホストが来てくれてるよ。」
 そう言うと、2人にして。と言われ、あたしは外に出た。
 ホストと話してから、3人でお店まで行き、ホストを下ろした。
 下ろした後、2人で帰った。