The Brave

「お父さん……お母さん……会いたいよ……」

途切れ途切れに聞こえたその言葉に、自分の胸が締め付けられる感覚が走る。フローラちゃんはずっと独りで前世の家族のことを考えていたんだ。もちろん、自分もお父さんたちのことを考えることもあった。悲しくなることもあった。でも、涙は出なかった。

(涙が出ることが、悲しみを表すわけじゃないよな)

そう思って過ごしていた。忘れたわけじゃない。でも、自分たちはここで生きていくしかない。そう自分に言い聞かせてたんだ。

「フローラちゃん……」

自分の呟いた声は、フローラちゃんの鳴き声にかき消されてしまう。このドアをノックするべきかここまで来て迷う。その時だった。

「マヤちゃんも、フローラちゃんが心配なんですね」

声をかけられ、肩がびくりと跳ねる。ジェルメイヌさんが立っていた。指先に炎を灯し、周りを照らしている。ジェルメイヌさんはドアをノックした。

「フローラちゃん。ジェルメイヌです。マヤちゃんもいますよ。開けていいですか?」

「……私は大丈夫だから、放っておいて」