転生して新たな道へ

今日は、最終選考が発表される。

一次選考は二人揃って、通過したよ。

放課後、楓の家に行って、一緒に結果を見る。

正直、あまり期待はしていない。

一次選考を通っただけでも、上出来だから。

ずっと気になって、クリスマスもお正月を上の空だった。

「やった」

最終選考に残ったのは、七作品。

そこには、私の名前があった。

信じられないという思いで二度見するけど、間違いない。

「楓、どうだった?」

俯いている楓の顔を覗き込むと、目から涙がこぼれ落ちている。

落ちちゃったのかな。あんなに最高な作品なのに。

「さ、最終選考、通ったよ」

「おめでとう。私もだよ」

よかった、二人で通過できて。

嬉し涙で安心した。受賞まで、あと一歩だ。

◇◇◇ 

最終結果発表日。

今回は私の家に集まった。

小説賞のサイトを開くと、すぐに受賞者の欄が出てきて、そこにはなんと、私の名前があった。

雲の上の出来事みたい。

「向葵、おめでとう」

「ありがとう。楓」 

思い切り喜びたかったけれど、楓の結果がまだわからないから、程々にする。

「落ちちゃった」

楓が小さな声でつぶやくように言う。

「ちょっと、待って」

私が、楓のスマホを借りてスクロールすると、特別賞という項目を見つける。

「楓、見て」

そこには、楓の名前があった。

「えっ、本当?私、本当に受賞したの?」

楓は、理解が追いついていない。

「おめでとう。二人揃って受賞だね」

「楓、ありがとう」

「なんのこと?」

「いや、なんでもない」

私は楓が一緒にいてくれたから、受賞まで道を歩めて感謝しかない。

けど、照れくさくて言えなかった。

◇◇◇

半年後。

私と楓は中学二年生になった。

帰り道、楓と一緒に本屋さんに寄った。

今日は、私たちの本が発売日だからだ。

半年をかけて、私たちはたくさんの人のおかげで、発売することができた。

「あっ、あった」

私のいつも読んでいる小説の隣に私の小説が並んでいた。

すごいな。プロの人の隣に並んでるなんて。

私って本当に作家になったんだね。

まだ受け入れきれない。

覆面作家で、ペンネームは心愛だよ。

「私もあったよ。」

楓も覆面作家。ペンネームは雫。

二人とも前世の名前をペンネームにした。

小説と漫画でジャンルが違うから、場所は離れていたけどしっかり並んでいた。

お互いの本を買い、帰路についた。

良いことも悪いことも、前世を含めてたくさんあったけど、こうしてデビューできて言葉に表せないくらい、嬉しい。

前世が嫌だったわけではないけど、私は転生できて、本当によかった。