転生して新たな道へ

今日は、中学校の入学式。

あっという間に小学校生活は過ぎていったように思える。楓ちゃんとは、同じ中学校に通える。

「あのさ、これから向葵ちゃんのことを呼び捨てで呼んでいい?」

下校中。楓ちゃんが訊ねてきた。

「もちろんいいよ。私も楓って呼ぶね」

呼び捨てで呼び合えるなんて、急速に距離が縮まったはず。

◇◇◇

「向葵。私、漫画を描き始めてみたんだ」

入学式から少し経った、休み時間。

楓が私の机にやってきた途端、そう言った。

「すごいね。見てみたいな」

将来に向かって、もう取り組んでいるなんてすごい。お世辞ではなく、本音だ。

転生者がいうのも、おかしな話かもしれないけど。

「まだ、そこまでは……」

「そっか。今度、見せてね」

家に帰ると、すぐに机に向かった。

勉強ではなく、小説のプロットを書いてみようと思って。

プロットというのは、小説の設計図のこと。

色々考えたけど、前世のことを含めた実体験のテーマにすることにした。

課題をそっちのけでやってしまい、後々大変な目にあったのはここだけの話。

◇◇◇

「楓、ごめん。待たせちゃって」

今日は土曜日。

昨日楓に小説のことを話すと、一緒に作業しようという話になり、近所の図書館にやってきた。 

「大丈夫だよ。始めよう」

「向葵の小説、見たいな」

作業を始めてから、一時間が経った頃。

楓がそう言ってきた。

「いいけど、楓の漫画も見せてね」

そして、お互いのノートを交換した。

「内容、私の小説と似てるね」

読み終わり、私が開口一番に言った。

楓の漫画は転生要素があり、前世が役者。

そこまで、同じだった。

「私も思った。じゃあ、信じられないことを話すね」

楓の真剣な表情を見て、私は心の準備整える。

「この話、実体験なんだ。私、転生者ってこと。雫という名前だったよ」

「実は、私も。心愛だよ」

私は思わぬ事実を聞いて、驚きと興奮で声が大きくなる。

「えっ、そうだったんだ。共演経験あったよね」

「うん。雫と再会できて、すごく嬉しい」

それから、もう少し作業を進めた。