転生して新たな道へ

「それでは、撮影を始めます」

監督の声が響いた。

ここは、ドラマの撮影現場である学校。

監督の声を合図に、たくさんの役者が演技を開始する。

私もその一人である、 心愛。

私が演じているのは、新人の先生。

周りは、生徒役や先生役の人、そして ドラマの制作 関係者もいる。

「カット」

その声が聞こえた途端、一斉に演技を終了した。

◇◇◇

子供の頃は、この仕事や生活が忙しすぎて嫌いだった。

学校にも、ほとんど通えなかった。

でも、今ではこの仕事が大好きだ。

芸能界関係者だから、経験できることもたくさんあるから。

◇◇◇

「すごく、緊張してます。私なんかで大丈夫でしょうか」

あれから一週間。

私は、ロケバスに乗って目的地に向かっている。

今日は滅多にない、バラエティに出演できる。

――キーッ。ドシャーン。

周りの状況が把握できない。

でも、全身痛くて、視界が悪くて……。

私、死んじゃうんだ。

私に携わってくれたみなさん、私の人生の幕は今日で閉じます。

◇◇◇

「いい子だね。向葵ちゃん」

気づいた時には、知らない女の人と見たことのない部屋が見えた。

もしかして、私は赤ちゃんになってしまったのではないのだろうか。

漫画やアニメでよく見る、転生というものをしたのではないかと。

向葵とは、私の新しい名前だろう。

驚くことに、私の前世のこと、芸能界のことなどははっきり覚えている。

ロケバスに乗っていて、事故にあったことも。

◇◇◇

転生してから、長い月日が経過し、今日は小学校の入学式の翌日。

「何してるの?見せて」

今は、授業という名の自由時間。

私が絵を描いていると、クラスメイトが話しかけてきた。

「先生も見たいな」

続いて先生も話しかけてきた。

「す、すごく上手だね」

先生は褒めてくれたけど、ぎこちない笑顔だったように見えた。

その笑顔の理由は一瞬わからなかったけれど、すぐに気がつけた。

私が大人並みの絵を描いていたからだ。

なぜ、すぐに気がつけなかったのだろう。