遼の返事に、各々文句を口にする幼馴染たち。本気で怒っているわけではないのは声や顔を見れば分かる。車で来たせいで飲酒はできなかろうがなんだろうが、来てくれたのが嬉しいのだ。集まりが悪くて悲しいと嘆いていた友人も、にこにこと相好を崩してご機嫌そうである。お酒が進んでいた。
酔ってできあがりつつある陽気な人たちを軽くあしらいながら、完全にシラフの遼がグループに加わる。どこに座るだろうか。あまり遠くだと指を眺めるのに不便だ。
結菜は真剣な表情で唇を引き込み、良さげな場所を目だけで探す。自分が遼にここに座ってと案内をするわけでもないのに。
「橘」
「……え?」
「隣、座るね」
空いていた結菜の横が埋まった。気配を感じ名前を呼ばれたかと思えば、遼が迷いなく隣を陣取った。ぐるぐると脳内を駆け回っていた、良さげな場所の選択肢が、一瞬で脳外へ吹き飛んでいく。
瞬きを繰り返す。ポカンと口が開きそうになる。慌ててキュッと閉める。ジョッキを掴む。心臓がうるさく鳴り響いている。アルコールを流し込む。飲むペースが早くなっている。
結菜の隣には確かにスペースがあった。でも、なぜ、隣に。理由として容易に思いついたのは、出入り口から一番近いから。家からここまで歩いて行くのが面倒だと言っていた遼が、最短距離で座れる席を選ぶのは不自然ではない。
最短距離だったから、と結菜は結論付ける。瞬時に見繕った良さげな場所に自分の隣は含まれていなかった。眼中にもなかった。自分の隣ほど、つまらない場所はない。
結菜はジョッキに口をつけ、ちびちびと飲みながら遼を見遣った。見るのは顔ではなく、指。顔も綺麗なものだが、やはり気になるのは指だ。予想に反してこんなにも近い距離に理想の指がある。何はともあれ僥倖である。
酔ってできあがりつつある陽気な人たちを軽くあしらいながら、完全にシラフの遼がグループに加わる。どこに座るだろうか。あまり遠くだと指を眺めるのに不便だ。
結菜は真剣な表情で唇を引き込み、良さげな場所を目だけで探す。自分が遼にここに座ってと案内をするわけでもないのに。
「橘」
「……え?」
「隣、座るね」
空いていた結菜の横が埋まった。気配を感じ名前を呼ばれたかと思えば、遼が迷いなく隣を陣取った。ぐるぐると脳内を駆け回っていた、良さげな場所の選択肢が、一瞬で脳外へ吹き飛んでいく。
瞬きを繰り返す。ポカンと口が開きそうになる。慌ててキュッと閉める。ジョッキを掴む。心臓がうるさく鳴り響いている。アルコールを流し込む。飲むペースが早くなっている。
結菜の隣には確かにスペースがあった。でも、なぜ、隣に。理由として容易に思いついたのは、出入り口から一番近いから。家からここまで歩いて行くのが面倒だと言っていた遼が、最短距離で座れる席を選ぶのは不自然ではない。
最短距離だったから、と結菜は結論付ける。瞬時に見繕った良さげな場所に自分の隣は含まれていなかった。眼中にもなかった。自分の隣ほど、つまらない場所はない。
結菜はジョッキに口をつけ、ちびちびと飲みながら遼を見遣った。見るのは顔ではなく、指。顔も綺麗なものだが、やはり気になるのは指だ。予想に反してこんなにも近い距離に理想の指がある。何はともあれ僥倖である。



