お酒のせいにできない

 久しぶりに好きな指を見られると期待していたが、同窓会に参加するもしないも個人の自由なため、こればかりはどうしようもない。出そうになる溜息を、結菜はチューハイと共に飲み込んだ。

「あ、ねえ、みんな、連絡きたよ、福原から」

 ジョッキに口をつけたまま、結菜はピタッと静止した。今まさに想像していた遼の名前が聞こえ、硬直してしまった。唇に感じる冷たさ。僅かな隙間からじわじわと流れ込んでくるチューハイ。

 一人時が止まっていた結菜は、意識してゆっくりとジョッキを置いた。口内に入り込んでいたチューハイをこくりと飲み込む。耳から耳へ抜けていたはずの賑やかな会話が、急に鮮明になった。

「福原来れるって?」

「メンバーによるってさ。誰が来てるか教えてって」

「なんだそれ、メンバーによっては来ない可能性あんのかよ」

「誰か特別に会いたい人でもいんのかね」

「分かんないけど、一人一人打つの面倒だから写真撮るね」

 みんなこっち見て、と内カメラで集合写真が撮影された。どぎまぎしてしまう結菜はにこりともできず、唇を真一文字に引き結んだ硬い表情で写ってしまった。撮り直しになるわけもなく、一人だけ顔が強張っている写真が他人の手によって相手に送信される。

 恥ずかしくなってしまった。結菜はチューハイをこくこくと飲んで俯く。自分の姿など見えていないと言い聞かせても、一切視界に入らないとは限らない。形に残ってしまう写真は苦手だ。

「あ、返信きた。行くってさ」

「マジ? 福原釣れたじゃん」

「誰が福原釣ったんだよ」

「多分この私だね」

「それは絶対ありえねー」