「集まり悪くて俺は悲しいよ」
「それさっきも言ってなかった?」
「言った言った。ずっと言ってる」
「みんなもう働いてるしね。仕方ないよ」
「言うて半分は集まってるし良い方だって」
幼馴染同士の会話を黙って聞きながら、橘結菜はチューハイの注がれたジョッキを傾けた。盛り上がる会話には入れない。話を振られなければ結菜に喋る機会はないが、気に留めなかった。聞き役に徹する方が性に合っている。
結菜が大人しい性格で口数が少ないのを、絶え間なく話している幼馴染たちは知っている。知っている上で、受け入れてくれている。集まりの中で結菜が邪魔であれば、わざわざ誘うはずもない。
中学まで一緒だった幼馴染との同窓会。田舎の学校だったため人数は少なく、全員が未就学児の頃からの付き合いだった。高校で大きく枝分かれしていったが、大人になった今でも関係は切れていない。
ジョッキを片手に、ちまちまと飲むだけしかしていない結菜の視線がゆっくりと下がった。気になったのは、人の指。結菜に見られているとも知らずに動く指。ジョッキを持ったり割り箸を握ったりスマホを触ったりして、自由自在に動く指。
集まっている幼馴染の中に、心動かされる指はなかった。小学生、中学生、高校生と成長していくにつれて気になり始めた指を持つ彼は、来ていない。
幼馴染の一人であり、図ったわけではないが高校も一緒だった彼、福原遼。結菜は遼の指が、他の誰の指よりも好きだった。結菜の理想そのものだった。
仕事やプライベートで出会う人の指を盗み見ても、遼の指を超える指を持つ人は現れていない。遼以外の指では、結菜の心は熱くならない。
「それさっきも言ってなかった?」
「言った言った。ずっと言ってる」
「みんなもう働いてるしね。仕方ないよ」
「言うて半分は集まってるし良い方だって」
幼馴染同士の会話を黙って聞きながら、橘結菜はチューハイの注がれたジョッキを傾けた。盛り上がる会話には入れない。話を振られなければ結菜に喋る機会はないが、気に留めなかった。聞き役に徹する方が性に合っている。
結菜が大人しい性格で口数が少ないのを、絶え間なく話している幼馴染たちは知っている。知っている上で、受け入れてくれている。集まりの中で結菜が邪魔であれば、わざわざ誘うはずもない。
中学まで一緒だった幼馴染との同窓会。田舎の学校だったため人数は少なく、全員が未就学児の頃からの付き合いだった。高校で大きく枝分かれしていったが、大人になった今でも関係は切れていない。
ジョッキを片手に、ちまちまと飲むだけしかしていない結菜の視線がゆっくりと下がった。気になったのは、人の指。結菜に見られているとも知らずに動く指。ジョッキを持ったり割り箸を握ったりスマホを触ったりして、自由自在に動く指。
集まっている幼馴染の中に、心動かされる指はなかった。小学生、中学生、高校生と成長していくにつれて気になり始めた指を持つ彼は、来ていない。
幼馴染の一人であり、図ったわけではないが高校も一緒だった彼、福原遼。結菜は遼の指が、他の誰の指よりも好きだった。結菜の理想そのものだった。
仕事やプライベートで出会う人の指を盗み見ても、遼の指を超える指を持つ人は現れていない。遼以外の指では、結菜の心は熱くならない。



