マシューの問いに対し、フローレンスが絵の方を見る。その目がどこか優しげに細くなった。
「この絵の人物はね、私に誕生日をくれた人間なんだ」
「誕生日?」
「エルフは長く生きるから、誕生日なんて祝うことはない。だから誕生日なんて知らないんだ。私もそうだった。でも六百年前、私はそいつと出会った。そいつは私の魔法を見て、「綺麗」と言ってくれたんだ」
そう話すフローレンスの瞳が潤んでいく。マシューは黙って耳を傾けていた。
「そいつがある日、自分の誕生日を教えてくれたんだ。その日が来たら祝ってほしいってね。それで私の誕生日を聞いてきたけど、「わからない」って言ったんだ。そうしたら、「僕たちが出会った日を誕生日にしよう」と言ってきてね」
フローレンスは絵の方に向かった。細い指が絵を撫でていく。
「そいつはね、国を救った英雄じゃない。何か歴史的な発見をしたわけでもない。私以外の誰も名前を知らないただの人間だ。でも、そいつのことをずっと忘れられなくてね。歴代の美術部生徒にそいつの顔を描いてもらうんだ」
「この絵の人物はね、私に誕生日をくれた人間なんだ」
「誕生日?」
「エルフは長く生きるから、誕生日なんて祝うことはない。だから誕生日なんて知らないんだ。私もそうだった。でも六百年前、私はそいつと出会った。そいつは私の魔法を見て、「綺麗」と言ってくれたんだ」
そう話すフローレンスの瞳が潤んでいく。マシューは黙って耳を傾けていた。
「そいつがある日、自分の誕生日を教えてくれたんだ。その日が来たら祝ってほしいってね。それで私の誕生日を聞いてきたけど、「わからない」って言ったんだ。そうしたら、「僕たちが出会った日を誕生日にしよう」と言ってきてね」
フローレンスは絵の方に向かった。細い指が絵を撫でていく。
「そいつはね、国を救った英雄じゃない。何か歴史的な発見をしたわけでもない。私以外の誰も名前を知らないただの人間だ。でも、そいつのことをずっと忘れられなくてね。歴代の美術部生徒にそいつの顔を描いてもらうんだ」



