左手に龍はまだ来ない

さっそくプロレスラーに習い、ホームセンターへやって来た。

「うーん、色々な重さがあるんだなぁ」

俺は一番似合いそうな大きさを選び、首にかけてみる。
チェーンだ。
シルバーに輝いている。細かい網目が、俺の覚悟を支えている。

「おっ、かっこいいじゃない」

鏡に映る自分を見て、確信した。
これは、モテる。

それからしばらく、学校から帰ると、俺はチェーンをぶら下げ、ポージングの練習をしていた。
来たるべき時に備えて、だ。

「幹太、お風呂入りなさーい」

「はーい」

風呂に入り、首を洗っていると、少しかゆい。
鏡を見ると、首が赤くなっていた。