左手に龍はまだ来ない

拾って顔を上げると、こちらを見ている小春ちゃんと目が合う。

二列隣から、ずいぶん転がってきたらしい。

「はい」

手渡すと、小春ちゃんは微笑んだ。

「ありがとう。幹太くん、優しいね」

(優しい? 
つまり?
つまりこれは?)

俺は告白した。

「好きです! 付き合ってください!」

「えっ。キモッ。コワッ。ムリッ」

失恋には、三段活用があるらしい。

左手に龍はまだ来ない。