左手に龍はまだ来ない

検証を開始した。

毎朝、食パンを咥えて学校へ走る。

学校に着く頃にはパンは消え、道には鳩が集まり、俺の顔にはパン屑が集まった。

持久力だけが順調に向上し、
女子たちは俺を少し距離を取って見るようになった。

(なるほど。高嶺の花、というやつか)

ある日、クラスで一番可愛い小春ちゃんの好みを、友達が聞き出していた。

俺は耳を澄ます。集中すれば、犬並みの聴力が発動するはずだ。

「私はね、優しい人が好き」