響け!星夜のセレナーデ

突然の出来事に誰もが驚いていた。そんな中、ハリエットは静かに言う。

「……今のは、私のぶんです」

また乾いた音が響いた。ジョセフがまた叩かれたのだ。

「これは父のぶん」

また乾いた音が響く。

「これは母のぶん」

パン、と何度も音が響く。ハリエットの目から涙が溢れていた。泣きながら彼女はジョセフを叩く。

「レオンハルトさんのぶん。アントーニョさんのぶん。オルハンさんのぶん。マーガレットさんのぶん。カナタさんのぶん。ルートヴィッヒさんのぶん。あなたが傷付けた人のぶん」

ジョセフの頰は赤くなっている。ハリエットは泣き叫ぶように言った。

「私も、みんなも、もっと痛かったし怖かったんです!この痛みを忘れないで!」

呆然とするジョセフをギルベルトが「行きましょう」と引き摺っていく。小型船が遠ざかっていった。

「ハリエット。おかえり」

マーガレットが彼女を抱き締める。ハリエットはその胸に顔を埋め、子どものように泣いた。

「……ごめんなさい……ありがとう……」