響け!星夜のセレナーデ

「クソ!!」

ジョセフは杖を振り回すものの、魔法は一つも杖から出ることはない。ギルベルトがレオンハルトたちの乗る船に移動した。そして、ジョセフに数枚の書類を突き付ける。

「ジョセフ・ファスベンダー卿、数々の殺人及びハリエット・エルガーさんに対する誘拐と監禁、殺害未遂の容疑で逮捕します」

ジョセフの右手にも手錠がかけられる。彼はただ真っ青な顔をして項垂れていた。レオンハルトにルートヴィッヒが近付き、肩をポンと叩く。

「これで全て終わったね」

「……いいえ。まだ終わっていません」

そうは発したのは、レオンハルトではなくハリエットだった。彼女はレオンハルトとルートヴィッヒの間を歩き、アントーニョやオルハン、マーガレットやカナタの間も駆けていく。彼女の目には、ジョセフだけが映っていた。

「さあ、こちらへ」

ギルベルトがジョセフを連行しようとする。それをハリエットは「ワーグナー刑事、待ってください!」と止めた。ジョセフがハリエットを見つめる。刹那、ハリエットはジョセフの頬を叩いた。