5月の雪が止む頃に、君が本当の笑顔を取り戻せるように。





「……よし、できた。おい佐原、持ってくぞ」





出来上がったばかりの温かい卵がゆを盆に乗せ、
俺は隣にいたあいつに声をかけた。






「え、俺も?」







佐原は心底意外だと言わんばかりに、
あからさまにたじろいだ。あんなに強引な真似をしておいて、いざ顔を合わせるとなるとこれだ。





「謝りたそうな顔しといて、すっとぼけた面してんじゃねーよ。行くぞ」





俺はあいつの迷いを断ち切るように、
あえてぶっきらぼうに言い捨てた。


一人で向き合うのが怖いなら、俺が隣にいてやる。

あいつが海緒に対して抱えている罪悪感を、
ちゃんと自分の言葉で精算させることも、今の俺にできる「親友」としての役目だと思ったからだ。





「……分かったよ。行けばいいんだろ」





観念したように肩を落としながらも、
佐原は俺のあとに続いた。


手に持った粥が冷めないうちに。


そして、彼女がまた一人で自分を責め始める前に。
俺たちは並んで、海緒の待つ部屋へと足を進めた。