5月の雪が止む頃に、君が本当の笑顔を取り戻せるように。



「なんか久々に肉って感じ! 野菜ないの珍しいな」





食堂に並んだ大皿を見て、
部員たちがちらほらと口にし始める。


その言葉を聞きながら、俺は心の中で
「いや、海緒が来る前はこんなもんばっかだっただろ」と密かにツッコミを入れた。



彼女が来てから、いかに俺たちの食生活が豊かになっていたかを改めて思い知らされる。




「俺と佐原はあとから食べるから、お前ら自分の分だけにして残しとけよー」




そう部員たちに釘を刺しながら、
俺は手元の小さな鍋に視線を戻した。



海緒の分をどうするか佐原と相談した結果、結局、卵がゆを作ることに決まった。




「これなら胃にも優しいし、今の海緒ちゃんでも食べられるでしょ」という佐原の提案だ。


弱火でゆっくりと、米が柔らかくなるのを待つ。

出汁の優しい香りが立ち上り、
鍋の中で黄色い卵がふわふわと広がっていく。



これを食べ終わる頃には、彼女の心も少しは温まって、穏やかな眠りから覚めてくれるだろうか。

俺はそんな願いを込めながら、静かに、丁寧にお玉を動かした。