5月の雪が止む頃に、君が本当の笑顔を取り戻せるように。




「……海緒は、お前を責めてなかったよ」



呆然と立ち尽くす佐原に向けて、
俺は静かに、けれど明確に言葉を投げた。


今ここでかける言葉を間違えれば、
あいつとの関係も、海緒の心も、二度と元には戻らない気がした。

一つ一つ、自分の中で言葉を吟味しながら伝えていく。



「あの時、呼吸が乱れたのは、お前のことが嫌いだからじゃない。……拒めなかった自分の無責任さとか、一瞬でもお前に期待させてしまったことへの、自分自身に対する後悔なんだよ」



海緒は、誰よりも優しすぎて、
自分を責めてしまう子だ。あの日からずっと。


あいつの強引なキスを「拒めなかった自分」を、
彼女は許せなかっただけなんだ。



「だから、お前だけが全部背負う必要なんてねーんだよ」



俺の言葉に、佐原の肩が小さく跳ねた。


本当のことを言えば、あいつを殴り飛ばしたい気持ちだってある。けれど、海緒を愛したというその一点において、俺とあいつは地続きなのだ。


親友が抱えた罪悪感を、海緒の「本意」で少しずつ削ぎ落としてやるように。俺はただ、彼女の真実を伝え続けた。