5月の雪が止む頃に、君が本当の笑顔を取り戻せるように。






『……こんなに幸せで、いいんでしょうか……っ』






涙を流して肩を震わせながら、海緒は縋り付くような瞳で俺の目を捉えて離さない。



いや、離せないのは俺の方だ。

泣きじゃくる彼女があまりにも儚くて、今すぐにでも抱きしめてやりたい衝動に駆られる。





『本当に、本当に……私で後悔しませんか……? 途中で嫌になったり、他の女の子に目移りしたり、しませんか……?』

「……するわけないだろ。お前以外に誰がいるんだよ」





不安に押し潰されそうな彼女の言葉を、俺は即座に、確かな声で否定した。


それでも海緒は、自分の弱さに怯えるように言葉を続ける。







『でも、私は……普通の女の子みたいに、その、体だって……』

「だから、言っただろ」







言い淀む彼女の言葉を、俺は力強く遮った。


震えるその細い両肩を、今度は逃がさないようにしっかりと掴み、彼女の瞳の奥をじっと見つめる。





「俺は体目当てでお前を好きになったんじゃない。……俺が好きなのは、海緒、お前自身なんだよ」





何度も、何度でも言ってやる。


彼女が自分を許せるようになるまで、俺は何度だってこの言葉を繰り返すつもりだった。