5月の雪が止む頃に、君が本当の笑顔を取り戻せるように。






「……確かに、付き合う時間が長くなれば、いつかは……って、ちょっとだけ期待することはあると思う」






俺は嘘をつきたくなくて、正直な気持ちを口にした。
海緒は、絶望したような、あるいは納得したような顔で俯く。







『…………』

「でも、だからって、それを早く克服してほしいなんて思わない。……一生、体を重ねることが怖いままだっていいんだ」

『それはっ……そんなの、先輩に申し訳ないです……!』





食い気味に言い返そうとする彼女の言葉を、
俺は力強く遮った。


震える彼女の肩を掴み、逃げ場をなくすようにして、その濡れた瞳を真っ直ぐに見つめる。





「俺は、海緒の体を見てるんじゃない。海緒の中身を見てるんだ。……お前が笑って、俺の隣にいてくれる。俺が欲しいのは、それだけなんだよ」





そんなことのために、お前を諦めるわけがない。


彼女が自分で汚れていると言うのなら、何度だって「綺麗だ」と言い続けてやる。


俺の言葉に、海緒の瞳から一際大きな涙が零れ落ちた。