-翌日-
『みなさーん! 朝ごはん、できましたよー!』
食堂に響き渡ったのは、昨日体調を崩していたなんて微塵も感じさせない、突き抜けるような海緒の明るい声だった。
そのあまりのエネルギーに、俺は思わず圧倒されて足を止める。
「1日漆山さんの飯食ってないだけで、なんか久々に感じるわ」
「俺らの部活には欠かせないマネージャーっすね! 先輩!」
部員たちが嬉しそうに、そしてどこかホッとしたような声を上げながら、次々と彼女の元へ集まっていく。
昨日の重苦しい空気は、彼女の笑顔一つで完全に上書きされたみたいだ。
『メインのしょうが焼きを一人5個ずつ、おにぎりは好きな具材のもの3つ、スープもセットで持っていってください!』
大きなトレイを抱えながら、テキパキと指示を出す海緒。
一人5個のしょうが焼きに3つのおにぎりなんて、相変わらずこの部の連中の食欲をよく分かってる。
おにぎりを手渡すたびに部員たちと交わす「おはようございます」の挨拶が、朝日よりもずっと眩しく食堂を照らしていた。
俺はそんな彼女の背中を、少し離れたところから静かに見つめながら、込み上げてくる誇らしさを噛み締めていた。
そんな時、後ろの列に並んでいた佐原から、不意に声をかけられた。
「翔、いつ伝えんの」
「……なにを?」
目の前で部員たちと笑い合う海緒の姿から視線を外さず、俺は短く聞き返した。



