5月の雪が止む頃に、君が本当の笑顔を取り戻せるように。






『そっ、そういえば……お二人とも、空の星は見ましたか?』





流れた涙を心配させまいとしたのか、海緒は慌ててジャージの袖で目元を拭うと、唐突にそんなことを言い出した。





「星なんて、男が見る方が珍しいよ。ね、翔」





佐原が茶化すように俺に同意を求めてくる。





「まあ……見る機会も、なかなかないしな」





俺が正直な感想を漏らすと、海緒は「もったいないです!」と少し食い気味に声を弾ませた。





『ここの星、すごく綺麗に見えるんですよ。本当に、びっくりするくらい!』





さっきまでの震える声が嘘のように、
彼女の瞳がキラキラと輝き始める。





海緒は俺と佐原、それぞれの腕をぎゅっと掴むと、そのまま窓際までぐいぐいと俺たちを案内した。





「わ、わかったから。自分で行けるって」





不意に触れられた体温に少し戸惑いながらも、俺たちは彼女の勢いに押されるまま、夜の闇が広がる窓の外へと視線を向けた。