5月の雪が止む頃に、君が本当の笑顔を取り戻せるように。






「自分の気持ちを優先して、怖がってるの気づいてたのに……あんなことして、ごめんね」





佐原の謝罪は、飾り気のない、真っ直ぐなものだった。





「勝ち目がないって分かってたからさ。行動してでも、記憶に残るようなことしないとって勝手に焦ってた。そんなことしなくても、向き合おうとしてくれてたのにね、海緒ちゃんは」






照れくさそうに、けれど深く後悔しているように。
佐原は自分の髪をぐしゃぐしゃにかき回しながら、ぽつりぽつりと独白を続けた。



あいつも、ずっと苦しかったんだろう。



自分のエゴを押し通すことが、一番好きな人を追い詰めてしまうと気づきながら、止まることができなかったんだ。





「俺はね、もう自分の限界を知ったんだ。だからね、これからは……」





一呼吸置いた佐原が、今度は俺の方をちらっと見て、それから吹っ切れたような笑みを海緒に向けた。





「親友の恋を応援する友達兼、海緒ちゃんのリハビリ相手を極めようと思うんだ」





その言葉を聞いて、俺の胸のつかえがすとんと落ちた。


ライバルとしては終わりかもしれないけれど、親友としてのあいつとは、これからもこうやって笑い合える。



あいつなりの「降参」の仕方は、あまりにも潔くて、少しだけ切なかった。