意外にも、この沈黙を先に破ったのは海緒の方だった。
『あの……そんなに縮こまらないでください。私、怒ってないです。むしろ、謝らなきゃいけないのは、私の方で……』
「……え」
佐原が、弾かれたように顔を上げた。
俺も、彼女の言葉の真意を計りかねて言葉を失う。
海緒はベッドの上で居住まいを正すと、真っ直ぐに佐原の目を見つめた。
『気持ちを知りたいと思ったのは、本当です。でも……それが結果的に、佐原先輩を傷つけてしまいました。私の不確かな態度のせいで、苦しませてしまって……本当に、ごめんなさい』
そう言って、彼女は静かに頭を下げた。
自分が過呼吸になるほど追い詰められたことよりも、佐原に「そんな顔をさせてしまったこと」を悔やんでいる。
彼女のどこまでも真っ直ぐで、自己犠牲的なまでの優しさが、静まり返った部屋に染み渡っていく。
隣に立つ佐原の拳が、微かに震えているのが分かった。



