醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。

 橙色の火の粉が夜気に溶け、黒い海へと消えていく。
 空には雲一つなく、星が無数に瞬いている。

 波の音は一定で、まるで世界が二人だけになるように他の全てを遠ざけていた。
 エリシアは膝を抱え、揺れる炎を見つめながらぽつりと問いを落とす。

「それと、もう一つ聞かせて」
 セドリックが視線を上げた。

 銀髪が焚き火の光を反射し、昼間よりも鋭く、危うく見える。

「セドリックは聖女を使って、何がしたいの? 人助け?」
「んな訳ないだろ」

 一瞬の沈黙の後、乾いた笑いと共にセドリックは即答した。
 ためらいも、言い訳もない。

「まさか聖女の力を悪用はしないでしょ」