醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。

 レイディン帝国の第三王子が誕生した噂があったのは、エリシアが十歳になる少し前だ。

「そうだよ」
 セドリックは、観念したように言った。

「俺は、まだ十六だ」
「ぷっ」

 エリシアは思わず、笑いが漏れた。
「ブレイク補佐官、二十六歳設定よ。十歳もサバ読んでたのね」

「あー、もう。悪かったな。レイディン帝国では十六歳でも成人だが、ノイダン王国の男は二十歳でやっと一人前だ。ある程度人生経験がある設定じゃないと信用されないだろ」
 彼は落ち着いた振る舞いをするし、声も低い。
 だが、近くで見ると肌は張りがあり若さを隠しきれていない。

 焚き火が、ぱちりと小さな音を立てた。