醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。

 朝の光と、潮風と、銀髪の残像を瞼の裏に残したまま、エリシアはそっと目を閉じた。


「殺さないの?」
 小さく囁く声は、波音にかき消されそうになる。
 首を締め付ける手があまりに弱く、エリシアは目を開けた。

 セドリックは答えず、ただ指を離し、荒々しく立ち上がった。

「動くな。今の身体で歩けば死ぬ」
 孤島の景色は、思ったよりも狭かった。

 白い砂浜、切り立った岩、内側にわずかに広がる森。
 文明の痕跡はなく、夜になれば闇がすべてを呑み込むだろう。

 二人は簡素な寝床を作り、火を起こし、食料を探す。

 セドリックは軍人そのものの無駄のない動作で任務を遂行する。