醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。

 父は誇らしげに娘を語り、母は自慢の娘だと頬擦りし、弟は無邪気に懐いてくれた。
 家族に愛され幸せだと思った。
 ――裏切られた。

(期待したくない⋯⋯もう、何もかもが嫌)

 ふと、ブレイクと目が合う。

 その琥珀色の瞳は、野心に満ち、未来を見据えていた。
 ――この人は、私とは違う。

 まだ、世界に期待している。
 そして彼がエリシアを守るのは、「守りたい」からではなく、「利用できる」から。

(さよなら)
 口の中で、誰にも聞こえないように呟く。

 エリシアは一歩、後ろへ踏み出した。
 そして、真っ暗な海の中へ飛び込んだ。

 冷たい風。
 塩の匂い。
 一瞬の浮遊感。