醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。

 誰も自分の気持ちを理解しようとしてくれない。
(調子に乗ってる? 私が? どうやったら、調子に乗れると言うのよ⋯⋯)

 エリシアの心はズタズタだった。
 十年捨てられたように生きて来た。

 獣と変わらない暮らしをして、聖女と分かったら利用しようと寄ってくる裏切り者たち。

 言う事を聞かないと、焼印を押すとまで言っている。
(私は彼らにとって人間でもないのね。パトリス⋯⋯一度は愛していたのに⋯⋯)

「冗談じゃない。僕の妻になる女の身体に、そんな傷をつけないでくれ」
 パトリスは顔をしかめる。

 “僕の妻になる女”。
 エリシアの人格も尊厳も、そこには存在していなかった。