醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。

 その声を聞きながら、エリシアの胸に冷たい虚無が広がっていく。

(私は、十年、苦しんだのに⋯⋯)

 その時間も、痛みも、誰にも数えられていない。

「お父様。この女に罰を与えていいわよね?」
 ルナが、甘えた声で言いユーイン国王は、即座に頷いた。

 迷いも、ためらいもない国の絶対権力者の判断。

 その瞬間、エリシアの胸に僅かに残っていた人間への期待が音を立てて崩れ落ちた。

「その無駄に美しいプラチナブロンドの髪を切り落とすのはどうかしら」
 甘ったるい声と裏腹に、ルナは口元を歪めて笑った。

 光を受けて淡く輝くエリシアの髪を、まるで玩具を見るような目で眺めている。