醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。

「手を出したことは謝る。でも、君が僕の愛する妹に対して、そんな酷いことを言ったのは許せない。聖女なのに優しい心を失ったのか?」
 吐き捨てるような責めるようなパトリスの声が響いた。

 神殿の空気が一瞬、氷のように張り詰めた。

 埃の匂い、ろうそくのわずかな煙、冷たい石床の感触。
 全てが怒りと絶望の間で揺れる三者の存在を際立たせる。

 ルナの目震え、痛みと恐怖に塗りつぶされている。

 エリシアはどこにもぶつけられない怒りを抑えるように黙った。

「エリシア、君は魔獣に毒されたんじゃないのか? 君は心優しい女なはずだ。聖女の力はそんな女に渡される。聖女なのに慈悲の心がないのか」