醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。

(私にも、初対面の演技をしろって? 散々、利用しておいて)
 胸に湧き上がるのが、苛立ちなのか、失望なのか、自分でも分からない。

「セドリック皇子殿下、エリシア・クルーシーと申します」
 丁寧に、よそよそしく。まるで社交辞令の見本のような声音。

「聖女様、身分としては、貴女の方が上です。そのように畏まる必要はありませんし、私のことは“セドリック”と呼んでください」

 エリシアは微笑みを作ると、そっと腕を差し出した。
 その手に乗っているのは、琥珀の石が嵌め込まれた腕輪。

 かつてブレイク(セドリック)が、お守りだと言って渡したもの。