醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。

 その直後、パトリスの唇が首筋に触れた。

 吸い付く感触に熱を帯びた吐息。
 それが何を意味するのか理解してしまった瞬間、思考が弾け飛ぶ。

 初めて与えられる侵害。
 恐怖と嫌悪が一気に噴き上がり、視界が白く染まった。

(ブレイクが私を、パトリスに? どうして、どうしてなの?)

「いや、やめて。お願いよ、パトリス」
「そうやって呼んでくれるのは、十年ぶりだね」
 くすり、と微笑む声が余計に恐ろしい。

「再会したら、当てつけみたいに他人行儀でさ。傷ついたよ。聖女のくせに、君も意地悪だよな」
「聖女の、くせに?」
 エリシアは顔を顰めた。