醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。

 期待を抑えきれずに尋ねると、父は書類から目を上げて答えた。

「クルーシー侯爵家はノイダン王国一の富豪だ。他国とのパイプも持っている。繋がりを持っておいた方がいいだろう」
 家の利益など、リオネルにとってはどうでもよかった。

 ただ、恋焦がれるエリシアと同じ未来に立ちたかった。
 彼女は、周囲の貴族令嬢とまるで違っていた。

 自分は、客観的に見て「モテる」側だ。
 令嬢たちは彼の前では柔らかく微笑み、可憐に振る舞う。
 だが陰では、平然と人を貶め、噂話に興じ他人の不幸を蜜の味のように語る。

「女は天使の皮を被った悪魔」だとリオネルは思っていた。

 だが、エリシアは違う。