醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。

 その時、鋭く突き刺さる視線を感じ、エリシアはふと顔を上げた。

 フロアの外、玉座の側で、パトリス王太子がこちらを睨みつけている。
 嫉妬と所有欲を感じ、胸の奥が冷える。

「エリシア様。嬉しいです。以前、一度だけ貴女と踊った時のことを、今でも覚えています」
 リオネルが、少しだけ声を落とした。

「そんなことも、ありましたね」
 遠い記憶が蘇る。

 あの夜、リオネルと踊っただけでパトリスは露骨に不機嫌になり、なかなか家へ帰してくれなかった。
(あの頃から、全部、歪んでいた)
 エリシアは左腕につけたブレイクから貰ったブレスレットを見て、なんとか心を落ち着ける。