『お前以外、愛せない』        ――元カノがいたはずの俺様王子くん、私への執着が暴走中!?ーー

 春兎の告白を聞いて、私の胸はいっぱいになった。


「……私もね、春兎が他の子と付き合ったとき、胸がすっごく痛かったんだよ?」


 私がそう伝えると、春兎は一瞬目を見開いたあと、耳まで真っ赤にして私を抱きしめた。


「……まじかよ。じゃあ、一年分、損したな」


 顔を上げた春兎の瞳には、もうさっきまでの不安はない。


 代わりに宿っていたのは、キラキラとした、それでいてどこかキケンな輝き。


「決めた。空音、俺もう遠慮しねーから」


「えっ……? ん、春兎……っ!」


 返事をする間もなく、春兎が私の額に自分の額をこつん、とぶつけた。


「明日から、全校生徒に思い知らせてやる。お前が誰のものか」


 翌朝。


 教室に入った瞬間、私は悲鳴を上げそうになった。


「あ、空音。遅い。ほら、ここ座れ」


 私の席の隣――月夜くんが座っているはずの場所に、なぜか春兎の机がくっついている。


 どころか、春兎は月夜くんを反対側の窓際の席へ「物理的に」追い出していた。


「春兎、これ、月夜くんの席じゃ……!」


「あー、月夜? あいつには『謎解きに集中できる特等席』を譲ってやった。文句ねーだろ?」


 斜め後ろどころか、真横。


 授業中も、春兎は隠す気ゼロで私の手を机の下で握りしめてくる。


「……っ、離して、春兎。先生に見つかっちゃう」


「いいよ、見つかれば。……空音、お前、いい匂いしすぎ。授業に集中できねーんだけど、責任取れよ」


 春兎は私の指を一本ずつ絡めるように握り直すと、クラス中の視線を無視して、幸せそうに口角を上げた。


 疎遠だった一年間を取り戻すような、甘くて強引な猛追撃。


 私の「俺様王子」は、一度火がついたら、もう誰にも止められないみたい――。