「……空音。お前、こいつと何話してたか、全部吐け」
春兎の目が怖いくらいに据わっている。
机の下で膝を掴む春兎の手は、怒っているのか、それとも不安なのか、少しだけ震えているみたい。
でも、私はそんなことには全く気づかずに、パッと顔を輝かせた。
「あのね、春兎! さっき月夜くんが教えてくれたの。正解は『影』なんだって!」
「……は?」
春兎が毒気を抜かれたような顔をして固まる。
私は嬉しくなって、月夜くんからもらった謎解きカードを春兎の鼻先に突き出した。
「これ見て! この猫ちゃん、実は影なんだよ。凄くない? 私、猫だと思っちゃったんだけど、月夜くんが『一ノ瀬さんの答えは面白いね』って褒めてくれたんだよ!」
「……お前、褒められたのがそんなに嬉しいわけ?」
春兎の眉間のシワがさらに深くなる。
横では月夜くんが「一ノ瀬さん、本当に素直で可愛いね」なんて、わざとらしくニコニコ笑ってさらに火に油を注いでいる。
「そうだよ! 月夜くん、とっても物知りなの。影の正体を教えてくれた恩人なんだから!」
「……っ、意味分かんねーよ!!」
ついに春兎が絶叫した。
バッ、と私の手を掴み、無理やり立たされる。
「影だかなんだか知らねーけど、そんなもん俺がいくらでも教えてやるよ! こんなニヤけてる奴と一緒にいんじゃねえ!」
「ええっ、でも月夜くんとまだパズルの続きが……」
「続きはねーよ! 全没(ぜんぼつ)だ、全没!!」
春兎は私を抱えるようにして、そのまま教室の外へと連れ出した。
背後から「あはは、瀬戸くんお疲れ様」という月夜くんの楽しそうな声が聞こえてきて、春兎の背中がピクッと跳ねる。
「……空音、お前、マジで一回お仕置きしねーと分かんねーみたいだな」
屋上の踊り場。誰もいない場所に追い込まれた私は、春兎の余裕のない顔を間近で見ることになった――。
春兎の目が怖いくらいに据わっている。
机の下で膝を掴む春兎の手は、怒っているのか、それとも不安なのか、少しだけ震えているみたい。
でも、私はそんなことには全く気づかずに、パッと顔を輝かせた。
「あのね、春兎! さっき月夜くんが教えてくれたの。正解は『影』なんだって!」
「……は?」
春兎が毒気を抜かれたような顔をして固まる。
私は嬉しくなって、月夜くんからもらった謎解きカードを春兎の鼻先に突き出した。
「これ見て! この猫ちゃん、実は影なんだよ。凄くない? 私、猫だと思っちゃったんだけど、月夜くんが『一ノ瀬さんの答えは面白いね』って褒めてくれたんだよ!」
「……お前、褒められたのがそんなに嬉しいわけ?」
春兎の眉間のシワがさらに深くなる。
横では月夜くんが「一ノ瀬さん、本当に素直で可愛いね」なんて、わざとらしくニコニコ笑ってさらに火に油を注いでいる。
「そうだよ! 月夜くん、とっても物知りなの。影の正体を教えてくれた恩人なんだから!」
「……っ、意味分かんねーよ!!」
ついに春兎が絶叫した。
バッ、と私の手を掴み、無理やり立たされる。
「影だかなんだか知らねーけど、そんなもん俺がいくらでも教えてやるよ! こんなニヤけてる奴と一緒にいんじゃねえ!」
「ええっ、でも月夜くんとまだパズルの続きが……」
「続きはねーよ! 全没(ぜんぼつ)だ、全没!!」
春兎は私を抱えるようにして、そのまま教室の外へと連れ出した。
背後から「あはは、瀬戸くんお疲れ様」という月夜くんの楽しそうな声が聞こえてきて、春兎の背中がピクッと跳ねる。
「……空音、お前、マジで一回お仕置きしねーと分かんねーみたいだな」
屋上の踊り場。誰もいない場所に追い込まれた私は、春兎の余裕のない顔を間近で見ることになった――。



