響け!沈黙のレクイエム

「撮影場所はこの部屋のようだねぇ」

オルハンが部屋と画面を見比べて言う。これも普段の彼女ならありえないことだ。Aliceの曲はいつも、魔法で空間を変えて撮影される。何もかもが違う。

「リズさんはAliceであることを隠そうとしてました。何でこんなこと……」

カナタが戸惑う。そのまま優しいメロディーが流れ出した。画面の中のリズの唇が動く。


最後の音よ、歌よ、あなたへ届け

嘘だらけの演劇 今、最期を迎える時が来た
拍手はない 二度と灯らないスポットライト
想いをただ、エーデルワイスの花束に隠して

これでさよなら 何よりも大切な場所へ あなたへ

「知らなければよかった」なんて嘘でも思わないよ
光が枯れて 私は泡になって それでも
あの時触れた手の温もり あなたのくれた言葉
全て、私の宝物よ


優しく、強く、温かい歌だった。レオンハルトは数分後、自分の頰を涙が伝っていることに気付く。否、レオンハルトだけではない。アントーニョ、オルハン、マーガレット、カナタ、全員が泣いていた。