響け!沈黙のレクイエム

アントーニョが部屋中を睨み付けるかのように見る。その目は獣のようだった。

「クソッ!ハリエット、何か連れて行かれる場所の手がかりとか残してねぇのかよ!」

アントーニョはそう言った後、クローゼットのドアなどを開け始めた。マーガレットがアントーニョの手を掴む。

「トーニョ、クローゼットは開けちゃダメ!下着とか入ってるんだから!」

「トーニョ。君は馬鹿なのかい?誘拐犯がどこに連れて行くかなんて教えるわけないだろうに」

オルハンが呆れた様子でアントーニョを見る。アントーニョはオルハンを睨み付けた。

「テメェは何も動かねぇつもりかよ。こうしている間にも、ハリエットの命が危険に晒されてるんだぞ!!」

「闇雲に行動したってどうにもならないだろう。今はレオンとルートヴィッヒさんの魔法だけが頼りなんだ」

怒りに満ちたアントーニョと冷静なオルハンが睨み合う。部屋に漂っていた緊張がさらに増していく。アントーニョは手足を虎に変え、オルハンは影の中から幽霊を出した。