響け!沈黙のレクイエム

(何もないといいが……)

セドリックは断りたかったものの、他の捜査官にリリーとハリエットの存在をバラされるのではと思い、渋々船に乗船することにしたのだ。

「二日後には帰ってくる。だからそれまで、家のことを頼んだぞ」

ハリエットにそう言い、セドリックはリリーと共に家を出た。リリーと船に向かう際、話していたのはハリエットのことばかりだった。

「お土産、買っていってあげないとね」

「ああ。何が喜ぶかな?」

「おいしいお菓子とお茶は絶対外せないわ!」

「船内でじっくり選ぼうか」

しかし、セドリックとリリーがこの家に帰ってくることは二度となかった。二人はジョセフの卑劣な手にかかり、冷たく暗い海の底に沈められてしまったのである。