響け!沈黙のレクイエム

「エルガー捜査官。お久しぶりですな」

「ファスベンダー卿。お久しぶりです」

「最近は酒場にも来ていないそうですな。マスターが寂しがっていましたよ」

「そうでしたか。少し捜査が立て込んでいまして」

セドリックが酒場に行かなくなったのは、リリーとハリエットの元に早く帰りたいからである。酒場に行くのは職場の飲み会だけになっていた。

「本当に捜査ですか?」

ジョセフがセドリックを見つめる。その目は、まるで全てを見透かしているかのようにどこか冷たく見えた。セドリックの背筋に冷たい何かが走る。彼は思わずジョセフから目を逸らしていた。

「本当ですよ。まだ仕事が残っていますので、失礼します」

そう言い立ち去ったセドリックを、ジョセフは冷たい目で見つめていた。



セドリックがリリーと出会って十年以上が過ぎた。セドリックは順調に出世していき、主任になった。現場に出るよりもデスクワークが増え、今日も書類の束と向き合う。

(ん?これは……)