響け!沈黙のレクイエム

リリーとハリエットは森の中だけで過ごしている。街に出ると危険なのだ。

(子どものハリエットには酷なことをさせているな)

同世代の子どもと遊ぶ機会がないのだ。セドリックはハリエットが暇を感じないように、勉強を教え、音楽を教え、そして自身が解決してきた事件を小説のように書いた。ハリエットという架空の助手までつけて。

「お父さん!この本、すっごく面白い!」

ハリエットはその小説をとても気に入ってくれた。誤算だったのは、ハリエットがその小説を出版社に勝手に送り付けてしまい、その小説が本屋に並ぶようになってしまったことだ。

「お父さんの小説が面白かったからみんなに読んでほしくて……。ごめんなさい」

ハリエットはセドリックが問い詰めると、シュンとして謝った。セドリックはため息を吐いたものの、すぐに許してしまう。一人娘は目に入れても痛くないほど可愛いのだ。

森での家族との生活、街での捜査官としての暮らし。それに慣れた頃だった。スーパーに行く途中、セドリックはジョセフと遭遇した。