響け!沈黙のレクイエム

「お嬢さん。あなたに家族はいますか?」

セドリックの問いかけに対し、女性は首を横に振る。セドリックは彼女の手を強く握り締めた。

「なら、僕と一緒に暮らしませんか?あなたを絶対に守ります」

セドリックは真っ直ぐに女性を見つめる。女性はフッと笑った。

「私はリリーと言います。……こんなことを言ってくれるのは、あなただけでした。嬉しい」

「リリー。素敵な名前だ」

セドリックはリリーを抱き締める。禁断の恋が幕を開けた。



セドリックはリリーの存在を上司たちに隠し、森の中に一軒家を魔法で建てた。そこでリリーと密かに暮らすようになり、ハリエットが生まれた。

「エルガーくん。君、結婚はしないのかね?よければうちの娘を紹介するよ」

上司たちからそう声がかけられるたび、セドリックは「僕は独身主義なんですよ」と曖昧に笑った。リリーと入籍することは当然できず、事実婚状態だ。ハリエットの存在もセドリックとリリー以外知らない。