響け!沈黙のレクイエム

「来ないで……」

女性は涙を浮かべながら狭い檻の中、後ずさる。女性の背中が壁についた。セドリックは安心させるように笑いかけ、ゆっくりと近付く。

「僕はセドリック。セドリック・エルガーと言います。魔法使いで特別捜査官です。あなたを助けに来ました。お名前を伺ってもいいですか?」

セドリックが女性の手に触れる。刹那、鎖が音を立てて壊れた。女性は驚いた顔を一瞬見せたものの、その顔はすぐに歪む。彼女の瞳から大粒の涙が溢れた。

女性は泣き声を上げ、セドリックに抱き付く。彼は女性の背中に腕を回し、子どもをあやすように頭を撫でた。胸の高鳴りが止まない。

(ああ、僕は彼女に恋をしたんだな……)

セドリックの胸にすぐ答えが落ちてきた。初めて誰かを愛したこの瞬間に、セドリックは幸せだけを抱いていた。

(この人を、ずっと守り続けることができたなら……)

しかし、その願いは叶わないことにセドリックは気付いた。特殊捜査官は任務で救出した人と事件以外で関わることは禁じられている。さらに、現在は法律で人間は人間としか結婚できないと定められているのだ。