太陽と狐は「」をする

 生まれてこの方、灯には友人らしい友人がいなかった。
 神子同士の交流会は時折開かれるものの、皆が誰かのスキャンダルや噂話、陰口で盛り上がっている。灯はそういったものは疎いし苦手だ。
 それに加え、天照家の次期神子の気を損ねれば家が取り潰しになるなどと言う、根も葉もない噂が飛び交っているせいで、話しかけてくる人もいない。

 灯は孤独だった。
 “孤高”だなんて言わないでほしい。ただ、寂しい。

 そんな寂しい過去と現在に思いを馳せていれば、気づいたころには机の上に道具が丁寧に戻されていた。



「……とりあえず、これだけやっちゃいましょ」



 精神を集中させるように、一つ深呼吸。
 お気に入りの白いふわふわのついたペンを取って、灯は再び教科書に向かった。