今日、過ごしたい場所で

「はい、霧野高校の佐倉です」

「あ、すみません。三年二組の天音 深冬です。日下部先生はいらっしゃいますか?」

「はい、今電話をお繋ぎします」

待機中の電話から流れる音楽がとても長く感じる。

「はい、かわりました、日下部です」

「あ、あの。私、天音 深冬……で……あの……」

上手く言葉が出て来ない。

「ゆっくりで大丈夫よ、天音さん」

日下部先生は優しい声色でそう言った。

「えっと、先ほど電話を下さったのに切ってしまってすみません」

「……天音さん、私、天音さんのお母さんから天音さんの状況を聞いたわ。その上で在籍を続けさせて欲しい、とも」

お母さんはいつの間に、そんなことをお願いしていたのだろう。