今日、過ごしたい場所で

「深冬、どうしたの?」

お母さんが台所から顔を出す。

「……担任から電話があったの。絶対面倒臭いこと言われるし、もう二度と会うこともないし……なんなら私は二年後には死ぬでしょ?だから、電話を切ったの……だけど……」

「うん、それで?」

「なんか悪いことした気持ちになった。いや、実際失礼なことしたんだけど、なんか……」

お母さんは嬉しそうに微笑んだ。

「ねぇ、深冬。お母さん、人生で後悔は付き物だと思うの。でも、人生で後悔しないコツを一つだけ知ってるの」

「……何?」

「その時、その時で自分が最善だと思うことを選ぶこと。そうすれば後で後悔する結果になっても、あの時最善を選んだから気にしない、と思える。そこからの解決策を考えるようになるわ。……今の深冬にとっての最善策は何?」

「……電話を掛け直して謝りたい、かも?」

「じゃあ、そうすればいいわ」

それだけ言うと、お母さんは台所に戻って行った。

私はもう一度受話器を持ち、高校の電話番号を打ち込む。